top of page
ケイスリー株式会社のロゴ

ニュース

【法務省矯正局イベントレポート】ミッション・ビジョン・バリューが「現場で動き出す」瞬間

  • masakikochi
  • 10月9日
  • 読了時間: 3分

~その場で共に描く動的ロジックモデルを用いた対話と気づき~


2025年8月4日、法務省矯正局の釧路少年鑑別支所で「令和7年度釧路少年鑑別支所拡大研究会」が開催されました。矯正局の新たなミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を、職員の日々の業務と結びつけることを目的に、釧路少年鑑別支所、釧路刑務支所、釧路保護観察所の職員3名をパネリストに迎え、ケイスリーが設計・ファシリテーションを担当しました。



ミッションと日々の実務、そのあいだの距離


矯正局では、職員と500時間以上対話を重ね、ミッション「更生を信じる力でもっと安全で、豊かな社会を」をはじめとするMVVを策定。一方、職員にとって、自分の仕事がこのMVVとどのようにつながるのかは、まだ十分に実感できていないという課題がありました。


そこで、釧路少年鑑別支所からケイスリーに相談があり、MVVと現場のつながりを体感できるように、現場職員が語る言葉をその場で整理・見える化し、対話を促進するためのツールとして、「動的ロジックモデル」を用いたオンラインワークショップを企画しました。ケイスリーは、こうした「対話を構造化して可視化する」ファシリテーションを通じ、理念を現場の実感へと結び直す支援も行っています。



その場で描く、動的ロジックモデル


従来は事前に完成された図をもとに議論するのが一般的ですが、今回ワークショップでは、参加者の発言をもとにリアルタイムでロジックモデルを更新。事前の質問「関係者別にどのような変化が必要か」なども参考にしながら、職員が語る「変化のきっかけ」や「大切にしている変化」、「支援の難しさ」などを、モデレーターが画面上で整理していくことで、対話そのものがモデルを形づくるプロセスとなりました。


対話から浮かび上がったのは、当初想定していた「少年院に入る前・在院中・出所後と、時系列毎にアウトカムが異なる」という仮説とは違い、同じアウトカム(更生への意欲、自己理解の促進など)が時期を超えて行き来するということ。つまり、人の変化は、行きつ戻りつを繰り返しながら進んでいくという「循環的なプロセス」である――そんな現場の実感が、対話の中から自然と浮かび上がりました。


参加者からは「自分の業務がどの段階の変化を支えているのか」「どんな瞬間に変化が生まれているのか」を改めて実感する声もあがるなど、ロジックモデルを見ながら語り合うことで、理念が「上から与えられた言葉」ではなく、「自分たちの言葉」として再構築されていく様子が印象的でした。



ミッションを“現場で感じる”ための一歩


矯正のプロセスは人によって異なり、単一のモデルに収まるものではありません。それでも今回のワークショップを通じて、参加者が自らの役割を超えて全体を俯瞰することで、「自分たちの仕事がMVVにどうつながるか」を実感するきっかけとなりました。


今後も、立場や役割の異なる職員が対話を重ねることで、MVVが組織全体に浸透し、納得感を持って実践につながっていくことが期待されます。今回は時間や技術的環境の制約もありましたが、ケイスリーでは、様々なツールやアプローチを用いながら、こうした対話を積み重ねて組織や地域が自らの理念を体感し、動かす場づくりも支援していきます。

コメント


bottom of page